空華第一〇号

 同人誌「空華」もとうとう二桁の大台の号に達しました。同人設立から五年半の月日が流れたことになります。感慨深い号ですが、設立当初のメンバーは、代表の僕(大坪)しかいなくなってしまい、少々寂しい思いを禁じ得ません。
 年月を経てみると、僕自身短歌などを我流ですが習いだして、空華第一〇号に賦したくなりました。詠う「数ふれば両手にあまる号のかず悩みて増ゆる皺のほどなれ」
 下手な歌はほどほどにしておいて、第一〇号の紹介です。初めに、記念号企画として、「平成を振り返って」という同人メンバーによる対談を掲載しました。まさに令和に変わる直前に行った対談なので、「令和」という年号に対する各人の感想も述べられております。「平成」に対するおのおのの思いや「令和」に向けての希望などが語られ、なかなか興味深い対談になったと思っております。ぜひ、一瞥なりとも呉れてやって下さい。
 小説のトップバッターは、藍崎万里子さん著「理白のはなし」です。夜行動物を飼う薔薇趣味の男と言うだけでかなり個性が濃いのですが、その彼が恋愛した相手も薔薇趣味の女性だった。その女性との恋愛の顛末やいかに? 薔薇で自身を塗さねばならなかった悲しい男の辛い深層心理の描写は、さすがというほかありません。主人公理白は、ただの自傷病で終わるのか、それとも……。精神を病む現代人に、一石を投ずる問題作です。
 二番目は、冬月さんの「伝説教師X 特別話『十進法のX』」です。冬月さんは、X先生のXが10の意味であることから、今回特別話を創作してくれました。コンピューターの基本が二進数であることに疑問を持ったX先生は、人間の指が10本であることから、10進法同時演算コンピュータを作成しようと、苦心します。出来たコンピュータは、しかしながら、正統に評価されなかった……。今回は、特別話だけあって、少々風合いの異なった作品に仕上がっています。
 三番目は、僕(大坪命樹)の「恁麼」です。第124回文學界新人賞に出して、歯牙にも掛けられなかった作品ですが、自分ではかなり気に入っている作品です。「恁麼」とは禅語で「それ」を意味し、ひいては「宇宙そのもの」「如来」を意味します。そのテーマをアブストラクト小説として表現しました。どこまで読者を得られるかが不安ですが、一人でも多くの人に、初めだけでも読んで戴きたい作品です。
 四番目は、杜埜不月さんの「故郷に出会いを求めるのは……」です。彼の三作目ですが、それにしてはかなり面白い小説です。東京でシステムエンジニアとして勤めていた月岡透だったが、東日本大震災を機に故郷の富山にUターンすることになる。コンピュータに嫌気が差していた透は、溢れている職としての「介護職」を再就職先に選ぶ。そこで、中学時代の同級生の日野愛美に出会うのだが……。なかなかのヒューマンドラマです。
 そしてラストは、お馴染みの「そらばなし書評」です。僕は、町屋良平著の芥川賞受賞作「1R34秒」を書評させて戴きました。藍崎万里子さんには、実質上初めての群像新人文学賞受賞作の古賀珠子著「魔笛」の書評を書いて戴きました。読書の参考にして戴けたら光栄です。
 以上、記念号第一〇号の紹介でした。

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