空華第五号

 さて、第五号です。
 片手の指の数だけ号を重ねたと言うことで、たかだか二年半しか経っておりませんが、記念号とさせて戴きました。記念号なので、企画を催し、「五」に関するエッセイを集めたところ、そこそこ原稿が集まりました。巻頭に差し込みましたので、みなさん是非御覧になって下さい。
 小説の方は、四編集まりました。企画に協力的な人がいて、藍崎万里子さんと進藤伐斗さんが「五」に絡めて書いてくれたので、記念号らしく仕上がりました。お二方には厚く御礼申し上げます。
 まずは、その藍崎万里子さんの「クラリネット五重奏曲」です。彼女は、その主要な著書「アマプレベス」シリーズを執筆する際に、登場人物の性格を誕生日から数霊学で割り出して、それぞれ個性的に描きました。その数霊学の「5」に関する話です。「5」の主人公は、気の合う「5」の友達と「クラリネット五重奏曲」を良く聴いていました。しかし、ふとした切っ掛けで主人公は精神病院に入れられ、その親友に会えなくなります。「5」の親友の面影を追い、病院の中、「5」の人を捜し求めますが……。なかなか、ラストはほろっとくる感動的ストーリーです。なかなか読み応えありますよ。
 その次は、ベテラン進藤伐斗の「棋道哀楽」です。知る人ぞ知る、進藤伐斗さんは将棋のアマチュア三段です。将棋の世界に詳しく、現在も県内の試合に出たりしています。その進藤さんが放った将棋小説第一弾です。学園ミステリー仕立てに、とても読みやすく仕上がっています。将棋部の部長である勝谷が、少年棋士の鈴森二段を呼んで、指導を受けているところに、囲碁部の成田が入ってきて見学する。勝谷は、突如便意を催してトイレに行くが、そのとき着替え中の女子高校生に、覗き犯として疑われ、追い掛けられて部室に逃げこんでくる。勝谷の犯行は事実なのか? 誰かの罠に落ちただけなのか? とすれば動機は何なのか? それを、鈴森二段が、詰め将棋を解くかのようにいとも簡単に、解明していきます。軽快なストーリー展開は、読んでいるものを飽きさせません。
 三番目は、第二号に寄稿してくれたことことさんの書いたショートショート「信じるなんて百年早いわ!!」です。はじめて書いたショートショートのわりには、オチもしっかりしていて、なかなかな出来具合だと思います。しかし、描写が少なく台詞だけで語られているので、もうすこし小説の書き方を勉強してほしくもあります。今回、第五号記念号を出すといったら、寄稿してくれました。短いので、文字の苦手な人にも簡単に読めます。また、小説読書のほねやすめにどうぞ、とも言える一作です。
 最後は、私(大坪命樹)の「幸せの断面」です。ツイッターで知り合った昇平と恵子。統合失調症というこころの闇を抱えながらの二人の一日デートは、恵子の住む近江八幡にてでした。桜を見ながらの幸せな一時を味わう昇平は、浮き立つあまり道端で転んで前歯を折ってしまいます。恵子に案内されて、近くの歯医者に行き治療して貰いことなきを得ますが、そういうふれあいの中で、沈んでいた恵子が明るくなっていきます。そして、以前イラストレーターをやっていた恵子は、別れ際に最後に寄った喫茶店で、昇平の頼んだ絵画を描くことを決意します。数ヶ月後、恵子の描いた絵画を受け取る昇平ですが……。心温まるラブストーリーです。一度読んでみてください。
 このような内容の第五号になりました。ぜひ、一度手に取ってみてください。
(大坪命樹)

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