空華第四号

 同人誌も丸二年となり第四号に突入です。
前回まで、寄稿して戴いた方々で再び投稿してくれるリピーターが、中核メンバーの他には殆んどいないのが、当弱小同人の悩みどころですが、山口の藍崎さんが常連メンバーとして活躍してくれるというので、有り難いことです。彼女は、ホームページにも載せてあるように、何冊か小説を自費出版なさっている実力派メンバーです。
 そんな第四号の巻頭を飾るのは、進藤伐斗の「焼いもうと外伝 にわか雀狂どもの宴」です。タイトルからしてただならぬものを感じさせますが、ざっくり言って騎士物語的構造の健全な兄姉愛ストーリーです。麻雀の知識が無いと読みにくいところもありますが、大体の雰囲気が判れば細部は重要ではないので、麻雀のルールを知らない人でも充分楽しめると思います。著者の進藤さんは、この話を締切り間際の十日前後で仕上げてしまったというから大したものです。読者を物語に惹き付ける牽引力は相変わらずですので、皆さんも是非、御一読ください。
 次に、藍崎万里子さんの「ガラスの子供たち」ですが、これは最後に「番外編」が書いてあり、併せて読んで戴くととても楽しめます。当初は、もっと別の形の話だったのですが、編集者に持ち込まれたときに編集者がいろいろ入れ知恵をしてしまったために、まったく別のストーリーと仕上がってしまいました。それでも、これだけの量をいとも簡単に書き上げてしまう著者の力量は本物です。話も、欧米のフリースクールをモデルにした少年院に、薬物中毒の男女が入ってきて話が組み上がっていくという、とても奇抜なアイデアで、読ませるものを飽きさせません。藍崎さんの魅力満載の作品です。
 その次は、無刀会随一の詩人トートの新作です。「仏の救いから逃げ続ける私」。なんとも個性的な題名ではありませんか。詩は詩人の独自の世界が開陳されていなくては、面白みがありません。その意味で、以前までの詩歌はトートの人間臭さを醸し出していて、どれも味わい深いものでした。その味わいが、より一層洗練されて、しかも賢ぶった硬い文章ではなく読者に読みやすいように、詩人独自のユーモリズムで色付けされて、今回作では描かれています。これは、トートが今まで書いてきた人生哲学を総まとめにした秀逸な作品です。読者の方々も、是非、味わってみてください。
 四番目は、私・大坪命樹の「画餅点心」です。これは、唐時代に生きていた禅僧龍潭崇信と徳山宣鑑の禅問答を繋げて作った創作ストーリーです。禅問答の部分もかなりおかしげな意味づけをしてあるので、もし禅僧の方が読まれたら、なんだこの曲解は、けしからぬ、と言われるに決まっております。それくらい、禅問答の背景を弄くり廻しました。しかし、大坪も仏教は崇拝するほうなので、あまり極端な曲解は避け、小説のテーマ的には仏教哲学を大きく外さないように、描いたつもりです。仏教をよく知らない人にこそ、一読して戴きたい小品です。
 さて、五番目は今回の同人誌発刊に際して、特別に寄稿して戴いた澤山功一さんの「妄想症候群」です。妄想の中でしか、嫌な相手に仕返しの出来ない主人公。反抗しようと一生懸命暴力を奮うが、気を失って頭の中だけでしか仕返しが出来ない。その癲癇にも似た症状の描写のリアリティーに示される著者の筆力には、唸らせられるものがあります。文体も、著者独自のユーモアが鏤められており、とても読みやすい逸品です。著者は、北日本文学賞の第二選考まで残った実力の方ですが、それもこの文章を読むと頷けます。今回限りなので、皆さんも是非御一読ください。
 第四号は、だいたいこのような品揃えで纏まりました。御縁のある方は、是非味わって読んでみてください。(大坪命樹)

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